デフレ経済が続く中で、値引き競争が当たり前になっています。他店より1円でも安く売る、1円でも安く仕入れるのが常識ですが、いつまでも続けていればチキンレースのようになってしまい、デフレのスパイラルに陥ってしまいます。しかし、安く提供することのしがらみからは抜けられないというのが現状ではないでしょうか。

 東京の町田市に「でんかのヤマグチ」という電気屋さんがあります。町田市郊外の1店舗だけで、2012年3月期の年商は12億3,000万円。社員は47人(2012年4月現在)ですが、業界大手の家電量販店が近隣にありながら安売りをせずに利益を出しています。

 商品にもよりますが、量販店の約2倍の値段で販売しても、顧客はヤマグチで購入するといいます。なぜでしょうか?その秘密は「徹底した顧客サービス」にあります。ヤマグチでは、自宅へ配送する際に、配線や設置まで行う、電球一つでも自宅まで交換に行くなどは、本業に付随する「表のサービス」でこれをやっても他社との差別化ははかれないと考えています。ヤマグチは「裏のサービス」に力を入れているのです。

 裏のサービスとは、お客様と会う頻度をあげるための“おもてなし”で、例えば営業担当が車で地域を回っているとき、お客様を見かけたら必ず声をかけ、時には目的地まで送ってあげるなど、困ったときの頼れる存在を目指して、親身な対応を実践しています。顧客にとって「なくてはならないお店」それが「でんかのヤマグチ」なのです。(つづく)

(記事提供者:(株)税務研究会 税研情報センター)