平成24年度(平成23年中)に「ふるさと納税」の制度を利用して地方自治体へ寄付し、個人住民税の控除を受けたひとは全国で74万1677人と、前年度の3万3458人に比べて約22倍に急増したことが、総務省の調べであきらかになりました。寄付金の総額は649億1490万円(前年度実績67億859万円)、控除額は210億1714万円(同20億4331万円)で、ともに前年のほぼ10倍の規模に激増しています。

 いずれも「ふるさと納税」の寄付制度が導入された平成21年度(平成20年中)以降で最高額となります。ただし、1人当たりの寄付金の平均額は8万7524円で、例年の約20万円に比べると半分以下に減少。控除額の平均も2万8337円で、約6万円だった例年実績の5割に満たず、利用の拡大とともに寄付の小口化がすすんだといえます。

 平成23年中の寄付行為の特徴としては、3月に発生した東日本大震災の被災地へ、「ふるさと納税」制度を利用したかたちでの「義援金」を兼ねた寄付が集まったことが挙げられます。また、寄付への「お礼」として自治体が地元の特産品などを配るケースが増えたことから、「お礼」を目当てにした寄付も増えたといえます。

 「ふるさと納税」は、任意の地方自治体に寄付をすれば、居住地の自治体に納める住民税が軽減される制度で、寄付をした翌年度の住民税が減る仕組みです。東京都民からの寄付が約213億円で最も多く、全体の約3分の1を占めるかたちとなっています。「ふるさと納税」の利用者が急増したことで、東京都の住民税控除額は約57億円となっています。

 都道府県別の制度の利用者数は、東京の13万8584人を筆頭に、神奈川の8万3817人(寄付金額約58億円)、大阪の5万3965人(同約42億円)の順となっており、この制度はやはり、「大都市圏」から「ふるさと」への寄付という構図が明確です。
<情報提供:エヌピー通信社>