では、地域で開催されるビジネスプランコンテストは、具体的にどのような形で地域振興に対する効果をもたらしているのでしょうか。

 それを理解するために島根県立大学で実際に行われているビジネスプランコンテストの取組をみていきましょう。

 島根県立大学では、「MAKE DREAM」というビジネスプランコンテストを開催しています。これは、同大学の学生が、大学の所在する島根県浜田市の地域資源を活用したビジネスプランを考案し応募を行うことで書類選考を通過した予選通過者が、地域の行政担当者や企業経営者の前で最終プレゼンテーションを行い、審査員の審査を経て優秀なビジネスプランに対して表彰を行うものです。

 「MAKE DREAM」では、学生自らによる起業を要件とはしておらず、学生の発案する若者ならではの自由な発想を聞いてもらう「アイデア提供型」の企画となっています。また、審査員には、行政、商工会議所・商工会、金融機関、大学などといった地域産業振興に関わる機関が幅広く参画しています。

 同コンテストで2011年度に最優秀賞を受賞したビジネスプランは、絵本の読み聞かせによるふるさと教育と、絵本の販売による観光振興を同時に図る「ご当地絵本」というものを作成するというプランでしたが、その後、受賞者が行政や支援機関の協力を得て、実際に実現させました。

 このように、大学発によるビジネスプランコンテストは、地域産業振興に関する学生のアイデアを地域に提供する場を設定するとともに、学生と地域産業・行政との接点をつくることで地域活性化に新しい動きをもたらしているのです。(了)

(記事提供者:(株)税務研究会 税研情報センター)