日本では入学式といえば4月、春入学が一般的です。ところが、近年、入学時期を秋にしようという動きが強まっています。昨年、東京大学は秋入学へ、5年後をめどに全面移行を目指すことを公表しました。制度の詳細は検討中ですが、こうした東大の動きは他大学にも影響を及ぼしています。現在、慶應義塾大学は秋入学への対応ができるよう学期スケジュールの見直しを検討中であり、ほかにも千葉大学、法政大学など、秋入学の移行に関して積極的な大学もあります。

 なぜ、秋入学の必要性が言われるようになったのでしょうか。その背景には、急速に進むグローバル化への対応があります。国際社会では、日本のような春入学は少数派で、米国、欧州、中国など、全体の7割近くの国が秋入学を取り入れています。この時期のずれは海外留学の障壁となり、日本の大学がグローバル化で後れをとった要因にもなっています。実際に、世界大学ランキングにおける日本の順位は年々低下しており、秋入学により国際社会における日本の大学の地位を上げたいという狙いがあります。

 とはいえ、入学時期の変更は就職活動や国家資格試験の日程をはじめ社会の各所に影響を及ぼします。そこで、各大学はスムーズな移行を目指し、さまざまな角度から検討しているところです。東大は、当面、入学は従来のままの春を維持しつつ、秋に始業(授業の開始)する案を提示し、また千葉大では3年半で卒業できる早期卒業制度を設けました。各大学とも試行錯誤の中にあり、最終的にどのような制度に落ち着くのか、今後に目が離せない状況になっています。(つづく)

(記事提供者:(株)税務研究会 税研情報センター)