政府は、医療や介護など社会保障制度改革の手順を定める「プログラム法案」の骨子を閣議決定しました。社会保障制度改革国民会議(清家篤会長=慶應義塾長)が安倍首相へ提出した報告書を踏まえ、70~74歳の医療費窓口負担割合を平成26年度にも現行の1割(現役世代並みの所得がある高齢者は3割)から本則の2割に引き上げるなど、施策の内容や実施時期を示した骨子となっています。この骨子は法案そのものではありませんが、政府では今秋の臨時国会に「法案」として提出したい考えです。「国民会議」は自民、公明、民主の3党合意に基づいて設置されたものだが、政権交代によってすでに3党協議の枠組みは破綻しています。

 社会保障制度改革の「プログラム法案」。その骨子は、「低所得者の保険料軽減」を図る一方で「保険料の上限額引き上げ」の検討に着手するなど、高齢・高所得者に負担増を求める内容となっています。
 骨子は「少子化対策」「医療」「介護」「年金」の社会保障4分野について、予定通りに消費税率が引き上げられることを前提として「給付」と「負担」の見直しをすすめるための〝工程表〟と位置づけられます。年間総額100兆円を突破した社会保障給付費の抑制については、支出の拡大が著しい医療・介護分野を重点的に見直すとしています。高齢者の医療費窓口負担を増やす施策は「平成26年度から29年度までをメドに順次講ずる」としたほか、医療費の窓口負担額に上限を設けている高額療養費の見直しにも着手するとしています。高齢者の窓口負担割合を1割から2割に引き上げれば、年間約2千億円の給付抑制効果があるものとみられています。

 社会保障給付費のほぼ半分を占める「年金」の分野では、支給開始年齢引き上げなどの給付抑制策を検討課題として挙げています。「介護」の分野では、「一律1割」とされている現行の自己負担割合について、利用者に一定以上の所得がある場合には引き上げるほか、症状が軽度のひとは介護給付対象から外して市町村の事業に移すとしています。
<情報提供:エヌピー通信社>