では、大学におけるキャリア教育においては、具体的にどのような取組みが行われているのでしょうか。
それを理解するために、島根県立大学におけるキャリア教育の取組事例をみていきましょう。

 同大学では、大学1年から4年にかけて将来を見据えた段階的なプログラムが構築されています。
まず、正規授業としてキャリア形成関連科目を各学年の段階に応じて配置しています。

 これらの科目では、「自己を知る」「社会を知る」「生き方・働き方を考える」といった流れでカリキュラムが編成されています。まず、「自己を知る」ために、学生自らが目標を立て振り返る習慣を身に着けることができる「キャリアシート」というツールを活用しています。また、「社会を知る」「生き方・働き方を考える」ために、各業界で活躍している大学OBや企業の経営者などを講師として招き、学生と双方向のディスカッションなどを行っています。

 さらに正規授業の中でキャリア教育を行うだけでなく、自己理解、環境理解を促進するための様々なキャリア支援の取組を実施しています。例えば、島根県内に限らず首都圏・関西圏などへの合宿研修を推進したり、インドや韓国などの海外企業研修を実施したりしています。キャリアセンターでは、1人1人の学生のニーズや特徴に合わせた個別相談に対応する体制を構築しています。

 このように、正規授業での教育とそれを取り巻く形でのキャリア支援とが車の両輪のように機能することで大学におけるキャリア教育は円滑に行われるのです。(了)

(記事提供者:(株)税務研究会 税研情報センター)