世界各国において中小企業は経済活性化やイノベーションの源泉、雇用の維持・創出の原動力と位置付けられ、政府は中小企業政策を重視しています。中小企業においては経営資源の確保の中でも、「カネ」にあたる資金の調達が極めて重要なことから、中小企業政策の中でも、金融面の支援にあたる政策金融はその重要な柱の一つとなっています。

 日本では、政府系金融機関における直接融資や信用保証協会による保証などが政策金融の中核となる手法となっており、「民業補完」をキーワードとして支援が行われています。それでは、世界最大の経済規模を誇る米国ではどのような政策金融の手法が取られているのでしょうか。

 米国における政策金融においては、連邦政府による保証と州政府による融資や保証による支援が併存しています。

 連邦政府による政策金融支援は、連邦政府の機関である中小企業庁(SBA)によって行われています。SBAによる支援は民間金融機関貸付の保証がメインであり、直接融資は災害貸付などごく限られたケースに限定されています。また、SBAでは保証による金融面の支援だけでなく、全国規模でコンサルティング機能や、情報提供機能を整備しています。

 一方、州政府では、各州の経済状況や優先課題に応じ、雇用の確保・コミュニティの活性化などを目的に、各州がそれぞれ適切と判断する政策を個別に実施しています。採用する政策金融手法も州によって異なり、融資中心、保証中心、融資・保証の両方を実施する等さまざまです。(つづく)

(記事提供者:(株)税務研究会 税研情報センター)