横浜市の税理士がこのほど、1年間で収集した租税史料を横浜中税務署に寄贈しました。寄贈品に含まれていた生糸印紙は「化粧紙(けしょうがみ)印紙」とも呼ばれ、その大きさは縦169㎜×横467㎜。国税庁によると「世界一大きな印紙」だそうです。

 国は明治初期に生糸への印紙制度を導入。検査に合格したものに印紙が貼られこととなりました。生糸の梱包法はさまざまあり、火縄銃の大銃に似た形になる方法を「鉄砲造り」といいました。鉄砲造りをする場合、総重量は34㎏にもなります。これに小さな帯状の巻紙印紙を貼るとなると、何と3600枚も印紙が必要になるとのこと。煩雑さやそれに伴う貿易事務の遅延を踏まえ、1枚の印紙で済むように、大きな化粧紙印紙が考案されたわけです。

 化粧紙印紙は現在、税務大学校税務情報センター(租税史料室)に展示されています。冒頭の税理士が寄贈したのは明治7年発行の未使用化粧紙印紙。このほか、土地の所有権を示すために明治政府が発行した「地券」のうちでこれまで発行が確認できなかった香川県と豊岡県(京都北部と兵庫北部)の地券、米子税務署に併合されて1年半しか存在しなかった根雨(ねう)税務署の絵葉書などを寄贈しています。この税理士は28年にわたって関連史料を収集・寄贈。今回寄贈したものも含めると、収集史料は2万4千点を超えるそうです。
<情報提供:エヌピー通信社>