国税庁が公表した法人税等の調査事績によると、大口・悪質な不正計算が想定されるなど調査必要度が高い法人に対して平成24事務年度(24年7月~25年6月)に行われた実地調査(実調)は9万3千件で、前年度の12万9千件と比べて3割減となったことが分かりました。

 調査の減少傾向は所得税調査にも表れています。24事務年度の所得税に関する実調は6万9974件で、前年度9万8687件の70.6%でした。法人税の9万3千件は前年度対比72.6%。所得税・法人税ともに調査件数が3割も減少していることが分かります。法人税との同時調査などで実施された法人消費税調査についても24年度は8万8千件で、前年度12万件から3割近く減っています。

 調査の減少傾向について当局は、25年1月に改正国税通則法が施行されたことで手続きが増えたことなどを理由に挙げています。改正法施行前も、改正法に対応するための職員研修に時間を割かれたことで、件数減少につながったそうです。

 法人税調査9万3千件のうち法人税の非違があったのは6万8千件。そのなかで不正計算が見つかったのは1万7千件でした。申告漏れ所得金額は9992億円。調査1件当たりの申告漏れ所得金額は1071万2千円となりました。申告漏れ所得金額のなかの不正所得金額は2758億円。調査による追徴税額の合計は2098億円にのぼります。調査1件当たりで見ると、224万9千円の追徴を受けていることが分かります。
<情報提供:エヌピー通信社>