FRB(米連邦準備制度理事会)議長交代と日本への影響 その1

 FRBの議長が、バーナンキ氏から後任のジャネット・イエレン現副議長に2014年1月に変わることが決まりました。FRBは米国の中央銀行(日本でいえば日銀に相当)で、策定する金融政策は世界経済へ絶大な影響を及ぼします。ここ何ヵ月は、現在の議長であるバーナンキ議長が来年の1月末の任期をもって退任することが色濃くなっていたため、次期議長は誰になるのかに注目が集まっていました。そのなか、次期議長に決まった、イエレン氏はFRBにおける100年の歴史で初の女性議長です。その政策策定、実行の手腕については、FRB副議長としてバーナンキ議長と二人三脚で金融政策を打ち出してきたことから、安心感があるといわれています。とくに、洞察力は際立っており、リーマン・ショックが起こる3年前の2005年の時点で、「米国の住宅市場はバブルだ」と分析していました。

 また、バーナンキ議長と同様、経済学者出身というところにも特徴があります。研究者としてハーバード大学やカリフォルニア大学バークレー校に勤め、教べんをとったことでも知られています。その後、イエレン氏は学者としての活動を続けつつ、求めがあれば公職に就くという生活を続けました。そして、サンフランシスコ連銀総裁を6年間務めるなどの実務を経験し、実践での力をつけていったのです。こうした実力をともなった経歴の持ち主であるイエレン次期議長がどのような政策をとるのでしょうか。万が一、金融政策の失敗でアメリカ経済が冷え込むとなると、日本経済はアベノミクスが道半ばでとん挫する可能性も出るため大きな注目が集まっています。(つづく)

(記事提供者:(株)税務研究会 税研情報センター)