同一の立地条件のもとで同一業種に属する製品の生産がなされている地域を産地といいます。産地は中小企業を中心とした地域特有の多様な地場産業から構成されており、産地で製造される製品は日本全国や場合によっては海外に広く販売されることもあります。

 しかし、近年、産地内での企業数の減少がみられるなど多くの産地は厳しい状況におかれています。そこで中小企業庁「産地概況調査(平成17年度)」に基づいて産地がどのような状況におかれているのかをみていきましょう。

 まず、産地の抱える問題としては、「内需の不振」と回答した産地の割合が69.0%と最も高く、以下、「構造的な競合輸入品の増加」(42.8%)、「受注単価の低下」(42.6%)、「原材料・部品価格の上昇」(28.1%)、「熟練技術・技能工の高齢化」(27.9%)、「後継者難」(26.8%)の順となっています。

 また、産地製品のブランド力についてみたところ、「海外でも知名度が高くブランド力がある」と回答した産地の割合は全体のわずか5.1%しかありません。逆に「知名度がなくブランド力が低い」と回答した産地の割合は44.1%と産地全体の約半分を占めており、多くの産地がブランド力の低さという問題を抱えています。

 こうした産地の抱える問題は決して一過性のものではありません。消費者の生活スタイルの変化が産地製品に対する需要の減少をもたらし、さらに低価格品の輸入急増が産地製品との競合激化を招くなど構造的なものとなっています。(つづく)

(記事提供者:(株)税務研究会 税研情報センター)