国家戦略特区に指定された福岡市が5月末、法人税の実効税率を15%程度に引き下げる規制緩和策を国に求める方針を明らかにしました。実効税率引き下げの対象は、創業から5年以内に大幅に利益を上げて法人税を納めている企業に限定されますが、対象になればシンガポール(17%)を下回る水準になります。

 安倍政権は法人減税を成長戦略の柱に据えていて、実効税率を将来的に20%台に引き下げることを視野に入れています。福岡市の「15%程度」という提案は、これをさらに下回る数字。現在の実効税率(35.38%)の半分以下の水準になるという大胆な提案です。
 高島宗一郎福岡市長は「日本一ビジネスがしやすい街にしたい」と、大幅に税率を引き下げることで国内外から投資を呼び込み、地元経済を活性化させていく方針を明らかにしています。

 実効税率の引き下げは東京圏や関西圏も追加提案される見込みです。
 現在、政府税調で法人税改革の議論が行われています。ただ、20%台への引き下げに対して「恩恵を受けるのは大企業だけで、代替財源の確保のために中小企業にとっては増税になる」という批判の声も多いのです。

 埼玉県に事務所を構える税理士は福岡市の提案について「特定の地域だけ大幅に税率を引き下げることになるので、税の公平性をどうクリアするのかという課題がある。戦略特区だからといって何でもありではないはず」と実現に懐疑的であるようです。
<情報提供:エヌピー通信社>