平成26年度税制改正で消費税の簡易課税制度が見直され、27年4月1日以降に開始する課税期間から金融業、保険業、不動産業の事業者には新しいみなし仕入率が適用されますが、今年9月30日までに「消費税簡易課税制度選択届出書」を提出した場合は旧仕入れ率を適用できる経過措置が設けられました。
 この選択届出書の提出は消費税の原則課税と簡易課税の選択に関する手続きで、毎年多くのミスが発生しているものです。

 26年度税制改正では、簡易課税制度について、金融業、保険業、不動産業のみなし仕入率が引き下げられ、現行と比べて課税売上高に掛かる消費税から差し引ける額が減らされました。新税率は27年4月1日以降に開始する課税期間から適用。しかし、今年9月30日までに消費税簡易課税制度選択届出書を提出した場合、27年4月1日以降に開始する課税期間であっても、届出書に記載した「適用開始課税期間」の初日から2年を経過する日までの間に開始する課税期間については、現行の税率を適用できる経過措置が設けられました。

 例えば、原則課税を選択している3月決算法人が今年9月30日に簡易課税制度選択届出書を出した場合、28年3月期と29年3月期は旧税率が適用されます。一方、今年9月30日以前であっても、25年3月31日以前の提出であれば経過措置が受けられません。3月決算法人が25年3月31日に提出した場合、「適用開始課税期間」から2年を経過する日までに開始する課税期間は25年4月開始期と26年4月開始期になり、27年4月開始期はその期間に該当しないためです。

 金融業、保険業、不動産業で原則課税を採用していて、これから簡易課税に移行するというのはレアケースかもしれませんが、もし該当するなら期限までに対応しないと税負担が大きく変わってしまので注意が必要です。