2014年4月に公表された「2014年版中小企業白書」において特徴的なのは、小規模企業(従業員数20人以下、ただし、卸売、小売、サービス業については5人以下)に特に焦点があてられ、小規模企業の実態や課題が明らかにされている点です。こうした背景には、2013年9月に「小規模企業の事業活動の活性化のための中小企業基本法等の一部を改正する等の法律(小規模企業活性化法)」が施行された点があげられます。そこで改めて、2013年中小企業基本法改正の背景をみていきましょう。

 1963年に制定された中小企業基本法は、1999年に中小企業を新産業の創出、就業機会の増大、市場競争の促進、地域経済活性化を促進する積極的な経済の担い手として位置づける形で大幅に改正されました。しかしながら、中小企業全体の約9割を占める小規模企業は経営基盤が脆弱なため、近年、企業数、雇用者数ともに大幅に減少しており、中小企業政策が必ずしも小規模企業にしっかりと焦点をあてた政策体系になっていない点が課題としてあげられていました。1999年の改正によって「中小企業の不利の是正」という政策目標が消えたものの、依然として企業の規模の違いによる不利は存在していたのです。

 他方、小規模企業は地域経済の安定において重要な意義を有していることから、地域経済の発展を起点にわが国経済全体の発展を果たす意味からも小規模企業の重要性が高まっていました。

 このような背景から、小規模企業に焦点を当てた中小企業政策の再構築を図り、施策を小規模企業に集中して講ずることを狙いとして2013年に中小企業基本法の一部が改正されたのです。(つづく)

(記事提供者:(株)税務研究会 税研情報センター)