東日本大震災および福島第一原子力発電所の事故以降、太陽光発電や地熱発電などの再生可能エネルギーへの注目が高まっています。なかでも、近年は海を利用し電気を創出する「海洋エネルギー発電」への期待が大きくなっています。

 海を利用した発電には、海上に風車を並べ発電する海上風力発電がよく知られています。いま注目を集めている海洋エネルギー発電は風力発電に加え、波力、潮力、海流、海洋温度差などの発電方式を組み合わせた形を主流にしています。

 発電方式のなかの波力発電はもっとも実用化に近いものの一つですが、これは波の上下運動を電気に変える発電方式を指します。このほか、潮の満ち引きを利用する潮流発電、海流を利用する海流発電、そして海水表面と深いところの温度差を利用する海洋温度差などの発電があります。

 海洋エネルギー発電が有望とされる理由は、安定した発電量にあります。太陽光発電や風力発電は天候により発電量が左右されるところが弱点です。また、従来の再生可能エネルギーは、発電量が少なく効率が悪い点に解決しなければならない課題がありました。この点、たとえば波力発電は540万キロワットという、原子力発電の3~5基分に相当する発電量の安定供給が可能で、従来の課題を乗り越えた点に将来性が期待されています。

 いずれの発電方式も実証実験の段階にあり、事業化には至っていませんが、国やいくつかの地方自治体は事業化に向けた施策に取り組んでいます。具体的には、現在、政府は実証実験用の海域を用意しており、そこに岩手県など、7つの県が名乗りを挙げています。(つづく)

(記事提供者:(株)税務研究会 税研情報センター)