日本税理士会連合会(日税連、池田隼啓会長)は6月26日に公表した「平成27年度・税制改正に関する建議書」で、「消費税の単一税率を維持すること」「外形標準課税は中小企業に導入しないこと」「欠損金の控除限度額を一律に縮減しないこと」の3つを重要建議項目として掲げました。全体的に、税の応能負担原則に基づいて中小企業の負担軽減を求める内容となっています。

 日税連の重要建議項目のうち、消費税の単一税率の維持を主張する項目では、軽減税率の効果は高所得者に多く及ぶことや事業者の事務負担が増大することなどから「きわめて効率の悪い制度」と強調。逆進性の対応は個人所得課税と社会保障給付をあわせた「税と社会保障の一体改革」の中で構築するべきと、社会保障の充実が進まないままに単純増税となっている現状に注文をつけました。

 外形標準課税の中小企業への導入についても、中小企業は大企業と比べて財政基盤が弱く、欠損法人割合も高いため、負担は大きなものになるとして反対。労働分配率の高さから雇用に与える影響も大きく、さらに大都市圏の税収が一層増加することで地域間格差が拡大することも指摘しました。

 また、欠損金の控除限度額を一律に縮減しないことも強く訴えています。繰越控除前の所得金額の80%相当額(中小企業は100%)とされている欠損金の控除限度額について、一律に50%まで縮減する案が出ていますが、建議書では「内部留保が相対的に乏しい中小企業については、現行の制度を維持すべきである」と力を込めています。
 建議書では重要建議項目以外についても言及しているので確認したいところです。
<情報提供:エヌピー通信社>