法人減税が現実のものになった場合の減税分のお金の使い道について、企業からの回答で最も多かったのは「内部留保」であることが帝国データバンクの調査でわかりました。

 調査は6月に2万3118社を対象に行い、1万571社から回答を得たもの。「内部留保」に続くのは、「社員に還元」「借入金の返済」「設備投資の増強」「人員の増強」となっています。安倍政権では6月に公表した新成長戦略で「成長志向の法人税改革」を打ち出し、法人減税の実現に向けた強い意志を示しています。首相は、「(黒字)企業の負担減が国内経済の活性化につながる」としていますが、今回の結果では、お金は市場にまわらずに溜め込まれるようです。

 帝国データバンクでは、「設備投資」と「研究開発投資」を合わせた資本投資は20.0%で、「社員に還元」と「人員の増強」を足せば人的投資が31.5%となることから、「積極投資は51.3%に上る」とまとめています。しかし、内部留保と借金返済を合わせれば36.8%になることから、経済の活性化につながるとは言い難い状況に変わりありません。さらに、「設備投資」を挙げた企業では、投資の額について5千万円未満と答えた割合が6割近くを占め、減税分の一部に過ぎないことが読み取れます。法人減税が日本経済の活性化に寄与するかとの問いに対しては、「寄与する」との回答は53.1%にとどまり、黒字法人のみが優遇される法人減税への期待の薄さが浮き彫りになりました。また、外形標準課税の課税ベース拡大については、「賛成」は25.7%にとどまり、「反対」の41.0%、「わからない」の33.3%から大きく引き離されました。
<情報提供:エヌピー通信社>