■グループ法人税制とは?
 グループ会社間(親子会社、兄弟会社等)で生じた資産の売却益(売却損)は、売却時にはその売却益(売却損)はなかったものとして税金の計算をします。
 その後、その資産が第三者に売却された時などに、はじめてその売却益(売却損)を税金の計算上考慮する制度です。

■対象会社は大会社とは限りません、実は…
 資本金、従業員数などの会社の規模に関係なく、株式の100%所有関係にある法人グループ(内国法人グループ)が対象となります。
 100%所有関係は、一社が100%所有又は一人が100%所有だけでなく、親族共同(同族関係者)で100%所有している場合も対象となります。

 例1)A社(父100%)とB社(父100%)
 例2)C社(父100%)とD社(父60%、母40%)
 例3)E社(父60%、母40%)とF社(子A70%、子B30%)
  ★いずれの例も各2社がグループ税制の対象となります。

■考え方はシンプルだが…
 グループ内の会社で資産の移転(売買)があった場合、【改正前】と【改正後】で売主の売却益(売却損)の計上するタイミングが異なります。

【改正前】
 例1)A社が原価1億円の土地をグループ会社B社に3億円(適正時価)で売却。
  〔A社〕3億円-1億円=2億円(売却益)に課税。
  〔B社〕3億円を取得原価(簿価)とする。

 例2)B社が上記土地を7億円(適正時価)で第三者に売却。
  〔A社〕課税なし
  〔B社〕7億円-3億円=4億円(売却益)に課税。

【改正後】
 例1)C社が原価1億円の土地をグループ会社D社に3億円(適正時価)で売却。
  〔C社〕課税なし
  〔D社〕3億円を取得原価(簿価)とする。

 例2)D社が上記土地を7億円(適正時価)で第三者に売却。
  〔C社〕3億円-1億円=2億円(売却益)に課税。
  〔D社〕7億円-3億円=4億円(売却益)に課税。
   ※D社が第三者に売却する時点で、C社がD社に売却した際の売却益を計上します。


■この規定はいつから?
 平成22年10月1日以降の取引から適用されます。
 事業年度単位での適用ではなく取引単位での適用となります。
 対象会社の決算時期に関係なく、10月1日より一斉に適用となります。
 平成22年9月30日以前の取引は改正前の規定、平成22年10月1日以後の取引は改正後の規定により計算します(取引日基準で適用。)。


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(まつうら税理士事務所)