最近、税務調査で問題になったのは、役員の通勤時の
駐車場を会社が負担していたことについてです。

事前i相談を受けていたので大した問題にはなりません
でしたが。
 
社員や役員に自動車通勤を認めている企業は少なくあ
りません。その場合、会社の敷地内に駐車場スペース
がないため、有料の駐車場を借りるケースがあります。
このケースの場合、その有料駐車場代を会社が全額、
または一部負担した場合、その有料駐車場代は基本
的に社員や役員に対する給与として扱われます。

 
ただし、駐車場代を通勤手当として支給している場合
は、マイカー・自転車通勤者の通勤手当の非課税限度
枠以内であれば社員に所得税はかかりません。
社員に駐車場代を支給する場合は、会社が支払うので
はなく通勤手当として支給する方が社員にとっては得
なのです。
なお、マイカー・自転車通勤の非課税限度枠は2キロメ
ートル未満が全額課税、2キロメートル以上は距離に応
じ一定額まで非課税です。

 
注意しなければならないのは、業務用として会社が借
りている有料駐車場のスペースが、特定の社員や役員
のためのスペースになっている場合です。もちろん、
駐車している自動車が業務用車である場合は、その業
務用車が特定の社員や役員専用のものであっても問
題はありません。しかし、業務用の月極駐車場スペー
スに社員や役員の通勤用マイカーが駐車されているケ
ースは少なくないでしょう。

 
それでも、そのスペースが不特定の社員や役員によっ
て共同利用されている場合は特に問題とされません。
問題となりやすいのは、そのスペースが実態的に特定
の社員や役員の通勤用マイカー専用となっている場合
や、特定の社員(たとえば社長)だけがマイカー通勤
を認められていて、事業用に借りている駐車場の一部
に常態的にマイカーが駐車されている場合です。

 
このような場合は、税務調査で会社がその駐車場を特
定の社員または役員のために借りているとみなされ、
社員または役員に対する給与になってしまうケースが
あります。

 
なお、この際の消費税の取扱いですが、駐車場代を通
勤手当として支給した場合は、消費税法基本通達11-
2-2において「通勤のために通常必要とする範囲内のも
の」は課税仕入れにできるとされています。また、こ
れは通勤手当の非課税限度枠を超過しても適用されま
す。
 
また、会社が負担した駐車場代についても、一般的
に経済的利益がその処理科目(給与など)に関わらず
課税仕入れにできることから、課税仕入れとして扱っ
て差し支えないと思われます。