神戸の税理士・ITコーディネータの佐伯です。

経済産業省(中小企業庁)が「事業承継協議会の検
討成果について」を公開しました。

現在、中小企業数の減少が問題視されています。中
小企業は我が国経済の活力源であり、雇用の受け皿
ともなっています。また、時折テレビ等でも見かけ
るように、中小企業のなかには我が国の国際競争力
を高める技術を持っているところも多くあります。
このような中小企業が減少するのは、我が国の経済
にとって大きな損失です。

そのため中小企業庁では、2005年10月に弁護士、税
理士、金融機関関係者などの実務家を中心とする「
事業承継協議会」(代表理事=山口信夫日本商工会
議所会頭)を設立。円滑な事業承継のための諸制度
の検討を進めており、昨年6月には、中小企業の円
滑な事業承継のための手引き「事業承継ガイドライ
ン」が同協議会によってまとめられました。

今回の「事業承継協議会の検討成果について」は、
同協議会内に設置された「事業承継税制検討委員会」
及び「相続関連事業承継法制等検討委員会」が策定
した、事業承継に係る税制及び相続法上の課題解決
に向けた「中間報告」です。

まず、事業承継税制検討委員会では、非上場株式に
係る事業承継税制の見直しを中心とした、事業用資
産に係る税負担減免措置を中心のテーマとしていま
す。

具体的には、最低5年間の株式保有の継続や経営従
事、雇用確保など、事業が継続される要件を明らか
にした上で、事業承継時の非上場株式の相続税評価
額について、事業用地に対する相続税評価額の減額
幅80%との均衡を図るとしました。さらに、その他
の事業用資産についても、農地の納税猶予制度と同
様の大幅減額制度を検討すべきとしています。
 
また、現行の非上場株式の評価方式(類似業種比準
方式、純資産価額方式、配当還元方式など)につい
ても、見直しを図るべきとしています。

一方、相続関連事業承継法制等検討委員会のテーマ
は、相続開始後の遺留分に係る紛争防止です。相続
開始済の中小企業のうち、8%の企業が何らかの相
続紛争を経験しています。このことから、相続開始
前に遺留分に関する対策を行う場合や、遺留分に関
する対策が十分なされないまま相続が開始した場合
について、「事業承継契約(仮称)スキーム」を初
めとした、さまざまな対策の方向性を指摘していま
す。
 
また、現在の遺言や死因贈与契約は、遺言者等の意
思によって撤回することが可能なため、後継者の地
位が確約されてないことを問題視。撤回できない死
因贈与契約等の要件などについても検討すべきとし
ています。

相続対策をなさっておられる専門家にとっては非常
に重要なテーマです。
今後の動向を見守りたいですね。


「事業承継協議会」の検討成果について

[事業承継協議会]