8.0 住宅取得資金贈与500万円は非課税

8.1 概要

     平成21年1月1日から平成221231日までの間直系尊属からの贈与により住宅取得等資金の取得をした特定の受贈者は贈与により取得した住宅取得等資金で自己の居住の用に供する一定の家屋の新築若しくは取得又は一定の増改築等の対価に充てて、その家屋を同日までに自己の居住の用に供したとき又は同日以後遅滞なく自己の居住の用に供することが確実であると見込まれるときには、のうち500万円までの金額を贈与税の課税価格に算入しない。(措置法70の2)

 

8.2 受贈者の要件は

① 贈与を受けるときにおいて日本国内に住所があること

贈与を受けるときに日本国内に住所がなくても、受贈者に日本国籍があり、受贈者または贈与者がその贈与前5年以内に日本国内に住所を有したことがあれば、適用をうけられます。

② 贈与を受けるときにおいて、贈与者の直系卑属(子や孫など)であること

父母のほか、祖父母、曽祖父母などからの贈与も対象となりますが、妻の直系尊属から夫への贈与、夫の直系尊属から妻への贈与などは対象外です

③ 贈与を受ける年の1月1日において、20歳以上であること

 

8.3 500万円枠の重複適用はできない

500万円の非課税枠は受贈者ごとに計算されます。受贈者1人につき500万円が限度額ですから、たとえば父から500万円、母から500万円、祖父から500万円を贈与された場合でも、非課税枠の適用は合計で500万円までとなります。

 

8.4 相続のときの取り扱いは

通常の贈与の場合には、贈与から3年以内に贈与者が死亡して相続が発生したときのみ、その贈与分を相続財産に加えたうえで相続税を計算しなければなりません。

相続時精算課税制度では、贈与者の死亡時期に関係なく、生前贈与された財産もいったんすべて相続財産に加算されます

しかし、今回の新制度による500万円の非課税枠を使って住宅取得資金を贈与した場合には、すぐに相続が発生してもこれを相続財産に含めないことになっています。相続時精算課税制度を併用した場合でも、同様に500万円までが相続財産から除かれます。

 

8.5 贈与税の申告は必須!

500万円の非課税枠の適用を受けようとする場合には、贈与を受けた年の翌年2月1日から3月15日の間に、贈与税の申告を必ずしなければなりません。 「どうせ無税だから」などと申告を怠れば、非課税枠の適用を受けることができず、従前の規定による高額な税金の納付を求められることになります。期間内の申告を失念しないでください。