「インクス流!」を読んで


日本経済は一時の金融危機を脱却し、現在では景気回復しているといわれていますが、なかなか実感がわきません。
約2年前に、当事務所の顧問先の金型製造会社の関係でインターネットを使って情報を集めていました。

そのときにインターネットで見つけたのが、このタイトルの本です。キャノンの御手洗富士夫社長も推薦されています。

インクスとは、会社名で株式会社インクスのことで、著者は山田眞次郎社長。
1990年7月に設立された比較的新しい会社です。
事業内容は金型の製作で、三次元による設計で金型を仕上げるということを早くから実践されています。

本の内容は、おおむね金型の三次元設計を軸にして、熟練工の技術(暗黙知)を単純化ないしは標準化したうえで、コンピュータシステム(形式知)に落とし込むという話で、45日かかっていた量産型の携帯電話の金型製作工程をわずか45時間に短縮し、日本の「モノ作り」に大変革をもたらせたものとなっています。

そしてそれは、次の3つの技術が融合することにより、圧倒的なスピードと人の判断を要しないシステムが実現したと記してあります。
1.IT(Information Technology:情報技術)
2.MT(Manufacturing Technology:製造技術)
3.PT(Process Technology:工程技術)

昨今IT革命、デジタル革命といわれて久しいですが、実はITが本質ではなく知的産業革命であると書いています。
なぜなら、ITによる単なる生産性向上ではなく、従来からするとその何十倍という爆発的なレベルでの生産性向上が実現することができるからです。何倍とか数倍といったレベルではありません!何十倍ですよ!
まさに単に経営革新といったレベルではありません。

18世紀から19世紀にかけての産業革命は、蒸気エンジンの発明を発端として、当時の織物業、紡績業の技術と融合することによって、爆発的な生産性向上が可能となりました。蒸気エンジンそれだけではなにも生産しませんが、既存の製造技術(MT)と融合することによって革命的な生産性向上が実現したのです。

そして今回の産業革命は、ITエンジンの登場です。ITもそれだけではなにも生産しませんが、既存の技術と融合することによって、爆発的な生産性の向上が実現することを山田社長は証明したのです。

またIT技術もさることながら、地味ではありますがPT技術のなかで触れているように工程を細分化して並列化するといった作業についても述べています。本には書いていませんが、これをコンカレント・エンジニアリング(同時進行技術活動)といいます。

この点については、実はわが業界においても非常に参考になるところですし、もしかするとわれわれの顧客のなかでも参考になるところがあるかもしれません。当事務所には、ズバリ、金型製造業のお客様がいらっしゃいますので、参考になるといったレベルではありませんね。

書籍の中身は濃密で、私たちも学ぶべきところが多い内容となっています。詳しくは、実際の本を読んでお確かめ下さい。

インクス流!
株式会社インクスのサイト

本文担当税理士:西山正記

大阪、和歌山の税理士/会計事務所?島田共同公認会計士事務所
URL:http://www.smss.biz/

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