2010年 8月の記事一覧

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10年08月24日 11時36分54秒
Posted by: zeihon
年金保険への課税の現況
 相続税法では、年金は年金受給権として評価され、相続財産として課税されます。その後、年々の年金受給が始まると、雑所得として所得税が課税されていました。
 ただし、年金で受けとるのではなく、一時金で受け取ることにした保険金については、相続税がかかるだけで、所得税はかからないことになっていました。

◇年金と保険一時金の相違
 一時金なら非課税ということは通達に書かれていたのですが、その通達は、所得税法に、「相続により取得するものには所得税を課さない」という規定があったことに根拠を置いています。
 でも、法律には、年金の場合は課税できる、との規定はありませんでした。国側の解釈は、相続税と所得税の課税のタイミングが同時のもので、いかにも二重課税が明白なものに限定しての非課税規定、というものでした。

◇長崎からの告発
 税理士も、なんとなくへんだ、と思いつつ、所得税法の解釈について、国の言うことに流されていたところでしたが、長崎の相続未亡人とその関与税理士は、国の言うことに納得せず、相続課税後の年金所得に所得税をかけるのは二重課税であると主張して裁判に訴えました。
 裁判の経過は次の通りでした。
平成18年11月7日 長崎地裁 勝訴
平成19年10月25日 福岡高裁 敗訴
平成22年7月6日 最高裁 勝訴
 最高裁での二重課税禁止判決はニュースで大きく取り上げられましたので、ご存じのことと思います。

◇国税のすばやい対応
 最高裁の判決後、類似のケースには、過去5年分につき、更正手続により還付し、もっと古い分については、立法的に手当てすることを検討する、と財務大臣が即座に表明しています。
 この素早い対応は、判決への国税庁の真摯な姿勢のように見えますが、穿った見方からすれば、判決の及ぼす税制への衝撃を、年金問題だけに食い止めようとしている思惑にも思えます。なぜなら、相続税と所得税との二重課税は、年金だけのところにあるわけではないからです。



10年08月24日 11時35分59秒
Posted by: zeihon
◇最高裁二重課税禁止判決の独自内容
 年金への所得税と相続税の二重課税を禁ずる先月7月6日の納税者逆転勝訴最高裁判決(長崎地裁は勝訴、福岡高裁は敗訴)の内容は、勝訴していた長崎地裁の判決と少し異なります。
 地裁は、年金への課税は相続税で済んでいるのだから、所得税で再課税すべきではない、としたのに対し、最高裁は、相続税の課税済み部分はその後の所得税課税において重ねて課税してはならない、です。

◇年金についての二つの非課税
 所得税法には元々退職遺族年金非課税の規定がありました。今回の年金判決で争点だった「相続取得によるものは非課税」との規定により、退職遺族年金以外の遺族の受け取る年金も、非課税が確認されました。
 それでは、元々の退職遺族年金非課税規定は特別に法律規定がなくてもよかったことになったのでしょうか。この疑問は、被告の国税サイドが反論として何度も主張していたところでした。

◇最高裁判決の独自内容の意味
 相続税が課税される相続財産の価額と、所得税が課税される所得の収入金額とには一時の一括課税か、何回かの分割課税か、長期間経過後の課税か、という理由による相違があります。その相違からくる金額差の部分にのみ所得税は課し得る、というのが、最高裁判決の独自内容です。
 その独自内容によって、先の、二つの年金非課税の疑問に答えたのです。即ち、退職遺族年金は相続課税と無関係に非課税、相続取得年金は相続課税部分のみ非課税、という理解です。

◇新たな考え方による法解釈
 最高裁判決の独自内容の意義は、相続税は一種の特別な所得税なのだから、相続税の課税済み部分にその後の所得税課税が重複してはならない、と言うことです。
 年金について言えば、従来は、過去に支払い済みの保険料(被相続人が支払ったものを含む)を超過して受け取る年金部分が所得税の課税対象と理解されていました。
 今度は、この支払原価超過分への課税の前に、相続課税済み部分を除外する、と大きく課税対象に変更を加えたのです。
 そして、この新たな考え方の影響は遺族年金への課税問題にとどまらず、相続財産に関わるその後の所得税課税全体に及ぶことになります。



10年08月17日 16時01分32秒
Posted by: zeihon
資本金1億円以下の会社に認められている法人税法の優遇措置のうち、以下の特例が、資本金5億円以上の法人の完全支配関係のグループ法人には認められなくなりました。

 ①中小企業の軽減税率
 所得800万円までは基本法人税率30%が18%に軽減されております。

 ②特定同族会社の留保金課税の不適用
 特定同族会社(1株主グループが50%以上株を所有している同族会社)には、会社内部に留保した利益に対して特別な税金(留保金課税)が課せられていますが、資本金1億円以下の特定同族会社には適用がありません。

 ③貸倒引当金の法定繰入率による繰入
 製造業は8/1000とか、小売・卸売りは10/1000とかの簡便な法定繰入率をつかえます。

 ④交際費等の損金不算入制度における定額控除
 年間600万円までは、交際費等のうち90%を経費として認められております。

 ⑤欠損金の繰り戻しによる還付制度
 前期黒字で今期赤字の場合は、前期の税金の還付が受けられます。

 要は、資本金1億円以下の法人でも、資本金5億円以上の法人の完全支配関係にある法人は、税務的には資本金1億円超の法人と同じとみなして課税することとなりました。

 この改正は平成22年4月1日以後開始する事業年度からの適用となります。



10年08月17日 16時00分18秒
Posted by: zeihon
9月10日
●8月分源泉所得税・住民税の特別徴収税額の納付

9月30日
●7月決算法人の確定申告<法人税・消費税・地方消費税・法人事業税・(法人事業所税)・法人住民税>
●1月、4月、7月、10月決算法人の3月ごとの期間短縮に係る確定申告<消費税・地方消費税>
●法人・個人事業者の1月ごとの期間短縮に係る確定申告<消費税・地方消費税>
●1月決算法人の中間申告<法人税・消費税・地方消費税・法人事業税・法人住民税>(半期分)
●消費税の年税額が400万円超の1月、4月、10月決算法人の3月ごとの中間申告<消費税・地方消費税>
●消費税の年税額が4,800万円超の6月、7月決算法人を除く法人・個人事業者の1月ごとの中間申告(5月決算法人は2ヶ月分)<消費税・地方消費税>
10年08月02日 09時58分10秒
Posted by: zeihon
(今月の税務トピックス①よりつづく)

 3.帳簿価額の修正
 対象取引のなかの寄附取引については完全支配関係にある子法人の株式について受贈益及び支出した寄附金の各々に係る親法人所有の子法人株式の帳簿価額の附替え修正を行うことになります(法令119の3⑥、法令9①七)このことは、親法人が子法人の株式を譲渡する際に各子法人株式の譲渡損益の計上を正常化するために行うものです。

 4.申告調整
 グループ法人間の資産の譲渡取引等に係る譲渡損益等の繰延べについては、当該取引時においては譲渡損益を消去する申告調整を行い、原則として当該資産がグループ法人外に譲渡されたときに通知を行い当該資産の譲渡損益について戻入れを行うことになります(法法61の3他)。
 
 5.適用時期
 グループ法人課税の対象となる取引のうち(3)及び(6)の取引については、平成22年4月1日以後の取引について適用されますが、他の取引については平成22年10月1日以後の取引について適用されます。

 Ⅱ 8月の税務
 8月は、夏休みもあり税務としては忙しくない月だといえます。ゆっくり静養して今後の税繁期に備えましょう。



10年08月02日 09時55分59秒
Posted by: zeihon
Ⅰ 平成22年7月までに発布された法令等

 ○ グループ法人課税の紹介
 平成22年度税制改正で本年10月1日から施行される事項が二つあります。その一つは、清算所得課税の改組であり、他の一つは、グループ法人課税の創設です。

 そのうち清算所得課税の改組につきましては、4月号で紹介しましたので、今回はグループ法人課税の創設について事前に紹介しておくことにします。

 1.グループ法人課税の目的
 グループ法人課税は、完全支配関係者間の取引に関して規定している課税制度です(法法2十二の七の五、法令4の2)。
 したがって、通常であれば一の者の所有する資産の評価損については、損金に算入できない(法法33)のに100%グループ内企業に譲渡して損金の額を計上することができます。
 また、一の者に所得の額があれば寄附金の損金算入枠が生じます(法法37)。その枠を利用して100%グループ内の赤字企業に寄附を行うことにより租税を軽減することができます。
 そうした租税回避行為を防止するために強制規定としてのグループ法人課税が創設され、周知期間をおいて本年10月1日から施行されるということができます。

 2.グループ法人課税の対象となる取引
 グループ法人課税の目的から次の6つの取引について、グループ法人課税を強制適用することとしています。
 (1) 100%グループ内の法人間の資産の譲渡取引等に係る譲渡損益の繰延べ(法法61の13①)
 (2) 100%グループ内の法人間の寄附に係る損益の額の不算入(法法37②、25の2①)
 (3) 100%グループ内の法人からの受取配当等の益金不算入(法法23④)
 (4) 100%グループ内の法人の株式の発行会社への譲渡に係る損益の不計上(法法61の2⑯)
 (5) 100%グループ内の子会社株式の消滅損の不計上(法法61の2⑯)並びに子会社の欠損金の引継ぎ及び未処理欠損金の引継ぎの制限(法法57②③)
 (6) 大法人の100%子会社等に対する中小特例の制限(法法66⑥二他)

(今月の税務トピックス②につづく)
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