25年の与党税制改正大綱の解説の5回目で最終回

(この大綱は、自公民の協議により4項目を検討課題に追加の上、閣議決定され国会に提出されるようです、衆議院も参議院も賛成多数で通過して成立すると思われます)


それでは、今回は諸税(その他いろいろ)編です


さて その他の改正についてです

四 消費税 (大綱79~81)
今回は消費税には大きな改正はありません

五 国際課税 (大綱82~84)
国際課税にも目立った改正はありません

六 納税環境整備 (大綱84~88)
この中に今回の目玉があります
※延滞税の税率引き下げです※

(延滞税とは、納期限に遅れて納付した場合に課される利息的な付帯税です)
従来は納期限から2ヶ月間は7.3%・それ以降は14.6%でした
バブルの走りの頃は郵貯や銀行預金なども7%くらいの預金利率がありました
そのバブルの高利率の頃ならそれくらいの税率でないと、納税せずに貯蓄しちゃうやからに対抗できなかったのでしょう

バブルが翳りだすと、納税にまわす資金を確保できない納税者が増えました、企業努力しても納税できない善良な納税者に高い延滞税は酷です

最初の引き下げは平成12年(?)改正でした、このときは7.3%を⇒公定歩合+4%と改めました
公定歩合がずっと1%以下だったので延滞税も4.1%~4.7%の間で推移しました
ですが預貯金の金利が1%以下の時代にはそれでも高すぎたよね

今回の改正案では
7.3%を⇒特例基準割合+1%とします
(特例基準割合=短期貸出約定金利平均+1%)
実際に何%になるかはそのときの特例基準割合によるのですが、推測では2~3%だろうといわれています

もう一つ、12年改正では手をつけられなかった14.6%です
今回こちらも引き下げます、14.6%⇒特例基準割合+7.3%となります

それでも市場の預貯金に比べると割高ですが、借入金の利息程度になると思います
納税資金に困った納税者が延滞しても、最初の2ヶ月間は銀行等の金融機関からの借入金並みの延滞税、それ以降は高くなるがマチ金よりは低い延滞税となります

資金繰りに一杯一杯の納税者には朗報だと思います

七 関税 (大綱88~89)
こちらも大きな改正はありません

90ページ以降は検討事項です
全部で15項目盛り込まれました
その中に我々に関係する税理士法の改正が入りました
「税理士法の改正を視野に入れて、その見直しに向けて引き続き検討を進める」
と記載されています、税理士法改正も近いようです

以上五回にわたって自分の目でみた大綱について解説させていただきました
多少なりとも来年度税制改正を理解していただけたなら幸いです

最後に民主党の希望により検討事項に追加される4項目を列挙します
①教育資金の非課税贈与枠の拡大
②交際費を法人税がかからない損金に参入できる措置を大企業などへ拡大
③国立大学法人への寄付税制拡充
④子育て世帯への支援措置
以上