社員を子会社や関連会社へ出向させるケースは、中小企業でも珍しくないことでしょう。慣習としての人事交流のほか、大きなプロジェクト要員としての派遣や特殊技術の習得または指導などの理由で、自社の社員を出向というかたちで関連会社に送り出すのはよくある話です。

 出向社員に対する給与は出向先法人が負担するのが一般的ですが、その場合でも支給のスタイルとしては、出向元法人が出向先法人から「給与負担金」を受け入れ、出向社員に対しては出向元法人から給与を支給するケースが多いようです。
 この場合、出向先法人から受け入れた給与負担金が、出向元法人における給与水準以下であると、結果的に出向元法人が両社の給与格差分の負担をすることになります。
 このように、出向元法人が出向社員に対して給与の格差補填金を支給した場合、税務上の取り扱いはどうなるのでしょうか。

 格差補填金の性格は給与であっても、その社員が勤務しているのは出向先法人であるため、給与として損金に算入してよいものかどうか考えてしまいがちですが、出向者と出向元法人との雇用契約は出向期間中であっても依然として維持されていることから、出向元法人が支給した給与の格差補填金も損金に算入されます。
 なお、出向先法人が経営不振などで出向者に賞与を支給することができないため、出向元法人が代わりにその出向者に賞与を支給する場合や、出向先法人が海外にあるケースで出向元法人が留守宅手当を支給する場合でも「格差補填金」として取り扱われます。
<情報提供:エヌピー通信社>