今国会で成立した産業活力再生特別措置法(産活法)の一部改正のなかで、「第二会社方式」による事業の第三者承継を、税制面からバックアップする新しい制度が手当てされました。「第二会社方式」とは、事業の全部または将来性のある部門の一部を、会社分割や事業譲渡により他の事業者(第二会社)に承継させ、負債・赤字部門を残した旧会社を清算する組織再編の手法のことです。

 第二会社方式を採用するには、①第二会社が営業上の許認可を再取得する必要がある場合、事業期間に空白が発生②事業取得などのために新規の資金調達が必要③事業承継に際して事業用不動産などの移転にともなう税負担が発生――という3つの課題を克服する必要があります。
 そこで今回の法改正では、中小企業承継事業再生計画を創設し、前述の3つの課題を克服しつつ事業の再生を目指す中小企業については、その計画の認定に基づいて、①許認可承継②金融支援③税負担軽減――が受けられることになりました。

 ①の許認可承継は、認定を受けた中小企業承継事業再生計画に従った事業の承継を行った場合、事業に関する許認可を承継できるもの。②の金融支援は、日本政策金融公庫の低利融資、信用保険の別枠化、投資育成会社による出資対象範囲の拡大など。そして③の税負担軽減は、事業用不動産などの移転にともない発生する登録免許税や不動産取得税を軽減するものです。

 なお、同法にもとづく事業再生支援を受けるには、中小企業の第二会社方式による再生計画(中小企業承継事業再生計画)の認定を受けることが要件。主な認定要件は、計画期間終了時点で事業収支・財務状況が改善すること、承継事業にかかる従業員の8割以上の雇用確保、労働組合への説明など従業員との適切な調整が図られていること、取引先中小企業の利益を不当に害さないこと――などです。