■「貯蓄から投資へ」の誘導策
 預貯金利子の税金、非上場株の売却益や配当の税金は20%で、上場株式の売却益や配当の税金は10%です。その他、銀行への証券仲介業解禁、株式投資に関し3年間の損失の繰り越しを含む損益通算税制の導入、申告不要特定口座制度の創設、株式譲渡損失と配当所得の損益通算特例の創設など、これらが、「貯蓄から投資へ」の誘導税制です。

■「貯蓄から投資へ」の認知度
 しかし、内閣府広報室の世論調査によると、「貯蓄から投資へ」という言葉の内容を理解している人は18.3%しかおらず、聞いたことがあるだけ32.3%、聞いたこともない49.3%という実態であることが報告されています。「貯蓄から投資へ」という国の方針の認知度は極めて低いようです。

■なぜ「貯蓄から投資へ」なのか
 金融取引の機能の基本は資金の余剰部門から不足部門への移転です。そして間接金融主体の日本では余剰資金は金融機関に集中し、事業資金の貸付のみならず証券市場へも広く投資されますが、機関投資家中心の市場は乱高下の激しいリスク煽動型になり易く、金融危機を誘発しかねません。それで、金融取引のリスクを金融機関に集中させるのではなく、家計部門を含め広く社会に分散させ、そうすることで、結果的には景気循環や金融システムに起因する景気の振幅を小さくさせたいわけです。

■「貯蓄から投資へ」の欺瞞
 しかし、企業に対するリスクマネーの供給は必要なことですが、そのリスクを家計に直接負わせるのは避けるべきです。
普通の家計がリスク資産に対処するには適切な知識を持っていることが前提となりますが、日本の家計資産の大部分は定期預金ですから、その知識は期待できません。

■「貯蓄して起業しよう」への転換
 世界経済危機の中で、消費者利益を損なう円安誘導政策、円安に依拠した輸出立国政策、米国債・ドル資産の蓄積という経済循環政策が崩壊の危機に瀕しています。
 内需中心、雇用創出、新しい事業・産業創出型へ社会構造の大転換が期待されています。自立して頑張る個人事業者や零細法人がどんどん生まれ、雇用の場が創出される起業促進型社会へこそ誘導すべきものではないでしょうか。「貯蓄から起業へ」です。