最高裁判所において、今年3月2日に相続した年金タイプの生命保険の課税について、違法であるとする判決が出た。このことにより、過払いとなった所得税について過去5年間に遡って還付することは勿論、それ以上前のものも検討するとしている。また、年金以外にも相続税と所得税の二重課税になっている金融商品について税制改正で対応するらしい。
もともと、相続税と所得税は別個の目的の税であり二重課税の問題は生じないというのが今までの考え方であった。それが、今回二重課税は違法だということになれば、根本的に今までの考えを修正する必要があるのではないか?
つまり、見直すべきは単に金融商品の二重課税の問題だけではないはずである。
不動産は、相続発生時にその年の路線価で課税されるにも拘わらず、相続した相続人は被相続人の実際の取得価額や取得日を引き継ぐことになり、譲渡価額との差額全額について譲渡所得税がかかる仕組みになっている。そういう意味では、今回の年金と同様に二重課税になっているのではないか。なぜ定期預金などの金融商品についてだけ検討しようとしてしているのだろうか。問題が大きすぎるから改正しないつもりなのだろうか。税制改正の議論で当然問題化するものと思われる。今後の改正作業が注目される。