現物出資については、従来は手続的に厳しい規制がとられていた。現在は、不動産は不動産鑑定士の評価証明が必要である点を除き、発起設立では弁護士、公認会計士、税理士及び税理士法人が現物出資財産の評価をすれば裁判所により選任された検査役の検査は不要になった。実務に配慮したより迅速な手続になったのである。

 一般的な会社の設立時や個人事業の法人なり、分社化をする場合の事業譲渡及び事業再生の場合のたとえば第二会社方式やDESを使った事業再生のような場合に広く用いられやすい手続になっている。

 現物出資については、その評価金額が資本金額になることから、現物出資財産としての適格性、財産評価の金額とその計算方法なども問題となってくる。

具体的な評価方法については、各々の財産ごとに多少異なることから、合理的な計算をする場合の基礎資料自体も違ってくる。

会社が作成した評価計算の内部資料と財務諸表や関連デ-タや外部の資料に基づいた証明者による計算の照合が必要になってくる。会社計算を超えた金額が算定されればそれは問題ではないが、会社計算の方が大きい金額の場合は資本充実の観点から問題になってくる。しかし、証明者は、下記で簡単に触れるように責任が重たいことから自己が計算した金額を評価証明書に載せざるを得ないであろう。

 現物出資の場合もう一つの問題になるのは、出資財産の過大評価による資本充実が害される場合である。法はこのような場合に発起人や取締役、価格証明をした者に対して、連帯して不足金額について払い込み責任を課している。価格証明者は任務懈怠責任であるが、取締役等は資本充実責任だという点が異なる。取締役の責任についてはより重い責任が課されているということでもある。

現在中小企業でもより二極化が進む状況になっている。このような状況下で、積極策としての多角化や事業再生という双方向での局面で、現物出資の利用は考えられてしかるべきであろう。


安 村 税 理 士 オ フ ィ ス


経産省認定 経営革新等支援機関 中小企業庁未来サポ-トセンタ-専門相談員

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