【質問】
昨今の経済状況を鑑みて、会社の財務体質改善を図っています。その中で、やむを得ず早期退職者をつのることにいたしました。
早期退職に応募した従業員には、通常の退職金より多めの退職金を支払ってあげたいと思っていますが、何か注意することはありますか。

【回答】
退職金の上乗せ部分(特別加算金)は、「社会通念上、特別加算金として適正な金額で、かつ、会社の規定に沿って算定された金額であれば損金処理できる」とされています。「社内規定に沿って計算されている」ところがポイントですから、「早期退職制度に関する規定」や「退職金支給規定」の中に、「特別加算金に関する規定」を設けておく必要があります。


 昨今の景気の影響を受けてか、ご相談の方のように、従業員の「早期退職」を実施する企業が増えています。

 早期退職は財務体質の抜本的な改善を目的として行われるもので、退職者には退職金とは別に上乗せ部分の「特別加算金」が支払われるケースが少なくありません。
 上場企業の中には、早期退職制度を実施し1人につき最大で月給27カ月分の特別加算金が支給したところもあるとか。

 退職者にとって、特別加算金は課税の対象となります。気になるのは、その所得区分や支払った企業側の税務処理です。


 特別加算金を支払った法人側の税務処理については「社会通念上、特別加算金として適正な金額で、かつ、会社の規定に沿って算定された金額であれば損金処理できる」(東京国税局)としています。

 特に、特別加算金の額が「社内規定に沿って計算されているか」という点については税務調査でも確認されることが多いので注意が必要です。

 特別加算金の支払いを実施する場合には、その下準備として、「早期退職制度に関する規定」や「退職金支給規定」の中に、「特別加算金に関する規定」を設けておくことが必要になります。

 具体的な規定の設け方などは、顧問税理士などにご相談ください。


 ちなみに、退職者にとって、支払いを受けた特別加算金は、「退職金の割増し部分に当たるため、退職所得として考えて差し支えない」(同)としています。

 退職所得であれば、「退職所得の受給に関する申告書」を会社に提出している場合は一定の計算式で算出した所得税額が源泉徴収されますが、そうでない場合には退職金額の20%が一律に源泉徴収され、確定申告により精算することになります。