【ポイント】
平成23年1月1日から、同居の親族のみを雇用する事業所の従業員についても一定の要件を満たしていれば、「従業員」として、中小企業退職金共済制度に加入することができるようになりました。


中小企業退職金共済制度(中退共制度)は、国が作った中小企業の従業員のための退職金制度です。

中退共制度とは…
・事業主が独立行政法人勤労者退職金共済機構・中小企業退職金共済事業本部(中退共)と退職金共済契約を結び、毎月の掛金を金融機関に納付する
・従業員が退職したときは、中退共から従業員に退職金を直接支払う
という仕組みになっています。

退職金額は、基本退職金は予定運用利回り1%で設計されています。付加退職金は予定運用利回りを上回った場合に上乗せされる事となっています。
2010年10月末時点で、369,043事業所の従業員3,130,461人が加入しています。

中退共制度の掛金は、法人企業の場合は損金として、個人企業の場合は必要経費として、全額非課税となります。

また、従業員ごとに退職金を決めることができる、パート従業員も加入できる上、退職金の管理がしやすいなどのメリットもあります。

非常に使い勝手がよい制度ですが、これまでは同居の親族のみを雇用している事業に雇用されている者は共済制度に加入できませんでした。

しかし、昨年「中小企業退職金共済法施行規則の一部を改正する省令」が改正されました。

その結果、同居の親族のみを雇用する事業に雇用される者であっても、使用従属関係(使用者の指揮監督下で労務を提供しかつ賃金の支払いを受けている者)が認められる者は、従業員として取り扱う事が出来るようになりました。

加入するときは…
(1)申込者が同居の親族のみを雇用するものである場合、共済契約申込書にその旨を記載する
(2)被共済者(加入対象者)が同居の親族である場合には、次の物を添付する
A)被共済者となる者が申込者に使用されている者で、賃金を支払われる者であることを証明する書類(賃金台帳等)
B)被共済者は中小企業共済法上の共済契約者でない事を誓約する書類

従業員が退職する時は…
1)退職時に同居の親族である時は使用され賃金を支払われていた事を証明する書類
2)退職事由を証明する書類
を添付します。

また、同居の親族が転職や傷病、高齢その他これに準ずる理由で退職した時は、再び同事業主に雇用される事が見込まれない事を証明する書類も必要です。