ホンダの業績が急回復しています。

 2010年3月期の連結純利益予想が、従来発表の550億円から前期比13%増の1,550億円となる見通しです。増益要因は、主として二つのようです。一つは、新興国への販売が増加したこと、もう一つは、効率的に経営したことです。

 新興国への販売増加は、二輪車で培ったブランド力を武器に拡販できたことが大きく、新興国向け販売比率を増加させています。効率経営は、小型車から大型車までのフルラインナップではなく、フィットを中心とする小型車に経営資源を集中していることがポイントです。これにより設備投資を抑制することができ投資効率が高いようです。これらの効果から、他の自動車メーカーと比べて収益改善のピッチが早まっています。では、中堅中小企業にとって、ホンダに学ぶべきことはどんなことでしょうか?

 まずは、強い商品を育成することです。ホンダは、エコ意識の高まりというニーズをとらえて燃費のよい小型車のフィットやハイブリッド車のインサイトなどの商品を提供しています。また、海外では二輪車という強い商品でブランド力を築いています。フィットやインサイトのようなニーズに合致しかつ競合他社よりも優れた商品を持っていないと抜本的な収益改善は難しい。特にメーカーの場合は強い商品(技術)を持つことが重要です。

 中堅企業の中には社歴も長く、過去には一世を風靡した商品で高収益を誇ったが、その商品が競争力を失うに連れて営業赤字に転落している企業があります。このような企業は、商品開発プロセスが型どおりで機能しておらず、市場の声や潜在ニーズを商品開発に反映できていないことも多い。(つづく)

(記事提供者:アタックス 諸戸 和晃)