「地主」と聞くと一般的には“個人”を想像しますが、法人が土地を所有して他人に貸しているケースも珍しくありません。
 平成20年の土地基本調査によると、日本では全体として62万3千法人ありますが、その約34%が土地を所有している計算になります。さらに、法人によって他者に貸し付けられている宅地などは20万7千件にも上ります。
 法人が所有する土地を他人に賃貸し、建物などを建てさせた場合、借地権が設定されたことになります。
 ここで税務上問題となるのが借地権の権利金です。

 一般に、借地人から地主に支払われる賃借料以外の金銭で、借地権設定の対価と呼ばれる権利金。通常、権利金のやりとりをする慣行がある地域なのに権利金を受け取らないときには、「権利金の認定課税」がされます。貸した相手への寄付金としてみなされてしまうのです。
 ただし、①その土地の価額からみて相当の地代を受け取っている場合②契約書で将来借地人がその土地を無償で返還することが定められており、かつ、「土地の無償返還に関する届出書」を借地人と連名で土地所有者の納税地を所轄する税務署長に提出している場合――このどちらかに該当するなら、権利金の認定課税は行われずに済みます。
 ②の場合、実際に受け取っている地代が相当の地代より少ないときは、その差額に相当する金額を借地人に贈与したものとして取り扱われます。

 なお、「相当の地代」とは、原則として、その土地の更地価額の概ね年6パーセント程度の金額をいいます。
 また、相当の地代の額は、概ね3年以下の期間ごとに見直しを行わなくてはなりません。
<情報提供:エヌピー通信社>