売出し中の商品名や写真が描かれたクルマが街中を走り回っています。しかし、運転者は必ずしもそのメーカーの社員とは限りません。メーカーが宣伝のため販売業者にクルマを渡し、営業車として使ってもらっているということもあるのです。
 ほかにも特定の商品用にデコレーションされた陳列棚など、広告宣伝を兼ねた資産がメーカーと販売業者の間でやり取りされることは少なくありません。通常、販売業者がメーカーから資産をタダまたは安価で譲られた場合には、メーカーが取得したときの価額を経済的利益の額として益金に算入します(取得のために販売業者が支出した金額があればそれを引いた額)。
 ただし、その取得した資産が前述の「広告宣伝用資産」なら扱いが若干異なります。この場合、「メーカーが取得した価額の3分の2-販売業者がその取得のために支出した金額」が経済的利益の額となります。あげたメーカー側にも宣伝効果という“利益”があるため、こうして単なる贈与とは区別しているのです。
 広告宣伝用資産は、自動車なら「車体の大部分に一定の色彩でメーカーの製品名または社名を表示し、その広告宣伝を目的としていることが明らかなもの」と定義されています。陳列棚や冷蔵庫、容器でも同様で、製品名やメーカー名の広告宣伝が目的と明らかなものが該当します。大きなものになりますが、展示用モデルハウスも、メーカーの製品の見本であることが明らかであれば広告宣伝用資産です。

 もらった資産が30万円以下なら経済的利益の額はないものとされます(同一メーカーから2以上の資産をもらったときは、その合計額)。また、もらった資産が広告宣伝用看板などのように専ら広告宣伝用となる資産は、取得による経済的利益の額はないとされています。
<情報提供:エヌピー通信社>