景気の減速が懸念される中、経営の舵取りが今後ますます難しくなることが予測されます。その中にあって、何が重要で何を優先すべきかの判断の良否が、間違いなく企業の成長を左右します。

 このような状況の中、YKKが「経営理念浸透」を目的として、役員と社員との対話研修を拡大するという新聞報道が目を引きました。当社はいわずと知れたファスナー世界トップシェアを誇る企業であり、非上場企業であることでも有名です。創業から70年超、役員と若い社員の間で仕事に対する意識のズレが生じやすくなってきたというのが最大の問題意識でした。加えて、二本柱のファスナー・建材事業が伸び悩む中、ファスナーで世界首位に成長した経験を現役世代に伝え、社員と経営陣の一体感を高めて次なる成長を目指すことがねらいのようです。

 永続企業を実現するのは他でもない社員です。また、現在の閉塞した状況を打破し、未来を切り拓いていく力を備えた社員を育成すること無くしては、企業の永続はあり得ません。しかし、長引く不況の影響によって雇用が大きく揺らいでおり、今、企業にとって「人財」という最も重要な経営資源が精彩を欠いています。(つづく)

(記事提供者:アタックス 北村信貴子)