1998年にピークアウトし、2005年には(統計をとり始めてからはじめて)自然減となりました。

 日本の人口問題といえば、もうお分かりでしょう。労働力人口(15から64歳までの人口)が1998年から減少しはじめ、2005年には死亡者数が出生数を上回りました。2005年は日本の人口減少元年といわれた年です。

 人口が減少すれば、当然、国内市場(内需)も縮小していくことになります。購買力の低下にデフレの波が覆いかぶさり、新興国の経済成長ともあいまって、製造業では新たな市場を求め生産拠点などの海外移転を加速させています。産業構造の変化が顕著になってきているのです。これを端的にあらわすのが、10月14日日経新聞の「若年層収入 女性が上回る」という記事でしょう。

 資源の少ない日本では、人を資源とする考え方が根付いています。企業では人を人材といい、人財という文字を充てる経営者も少なくありません。人口減少にともなって、労働力人口も高齢化しながら減少していく中でこそ、限りある資源である人財を有効活用することが企業継続のために必須となるでしょう。また、人材でなく「人財」を育てるためには、企業が永続する上での強く明確な目的意識をもち、かつ、共有することで、人財が育つ環境を作ることが求められるのではないでしょうか。

 10月6日に北海道大学名誉教授の鈴木章氏がノーベル化学賞を受賞されました。この時インタビューで、受賞の驚きと共同研究者や学生への感謝の気持ちと共に、「セレンディピティが大事」とおっしゃいました。(つづく)

(記事提供者:アタックス 入駒 慶吾)