(「事業承継のための成長促進型ファンド1」より続く)

 元気のよい未上場オーナー会社の社長は間違いなく優秀ですが、経営幹部の人材は不足していることが多く、特に海外で活躍できる人材を育てていないことが、海外進出の際には問題となります。住友系3社による成長促進型ファンドのような存在が資金面以外でこのような人材ニーズに組織的に応えてくれるのであれば、ファンドからの出資を受け入れたいと思うオーナー経営者もいるのではないでしょうか。

 他方、事業承継で悩んでいるオーナー経営者も多くおられます。できることなら血の繋がった子供に承継してもらいたいが継いでくれそうな人物が誰もいない。そもそも子供がいないケースも多いのです。こんな状況の時、オーナー経営者が考えるのは自分が精魂込めて築き上げてきた事業を存続させたい、社員の雇用を守りたい、そしてできればリタイア後の人生を安心して暮らすため、次にやりたいことのために某かの創業者利益を得たいということです。今回のファンドはMBO(経営陣が参加する買収)を前提とした投資も行うようですし、社内で育ってきた経営幹部を中心に新たな成長ステージに入ることも期待できるでしょう。

 事業経営はゴールのない駅伝レースです。時代の変化を乗り切るためには絶えず経営革新を行わなければなりません。特に経済がグローバル化した現在は変化のスピードが早く、競争もグローバルです。どんな優秀な経営者も年齢には勝てません。自前主義での経営では限界がある、なんとしても事業を永続させたいと考える経営者は、競争力強化・収益力向上型の成長促進型ファンドの活用を検討してみてはと思います。(了)

(記事提供者:アタックス 丸山 弘昭)