平成23年度税制改正大綱において、菅直人首相の肝いりで登場した「雇用促進税制」。 同税制は青色申告の法人が雇用を増加させた場合に減税となるもので、同23年4月1日~同26年3月31日までの時限措置です。

 「雇用を増加」とは具体的には、その事業年度末の従業員のうち、雇用保険一般被保険者の数が前事業年度末の10%以上、かつ5人以上(中小企業は2人以上)に増やした場合を指します。
 従業員が増えた事業年度の法人税額から、「増加した雇用保険一般被保険者×20万円」が控除されます(控除額はその事業年度の法人税額の10%を上限、中小企業は20%を上限)。
 このほか、不正防止なども兼ねて①適用の事業年度および前事業年度に事業主都合による離職者がいないこと②減税を受ける事業年度の「支払給与額」が、前事業年度における支払給与額よりも一定割合増加すること③風俗営業等を営む事業主ではないこと――といった要件もあります。

 雇用促進税制のカギとなるのは「雇用保険加入者」です。つまり、正社員だけでなくパート・アルバイト社員も対象になります。
 雇用保険に加入できるのは、1週間に20時間以上労働し、かつ同一の事業主に31日以上連続で雇用されることが見込まれる人です。
 会社にパート社員がいて、雇用保険料を負担する余裕があるなら、せっかくの減税策、使わなければ損だといえます。

 ただ、この税制の大きな特徴である公共職業安定所(ハローワーク)との連携は、意外と骨が折れるかもしれません。
 まず、対象期間内の事業年度開始後2カ月以内に、会社は目標の雇用増加数などを記載した「雇用促進計画」をハローワークに提出します。続いて、事業年度終了後2カ月以内にハローワークから同計画について確認を受けます。確認を受けたら、交付される書類を確定申告書に添付することで雇用促進税制の適用が可能になります。
<情報提供:エヌピー通信社>