(「ビジネスは「競争」と「協調」 その1」より続く)

 震災により部品調達に深刻な影響を受けた車両メーカー各社ですが、先を争って部品調達に走ることでかえって混乱を招きかねないとした各社トップは、「再開一番乗りを競うことはやめよう」という暗黙の合意を結んだようです。

 ビジネスの世界は「競争と協調」で成り立っています。自動車メーカー各社は新車開発競争、販売競争にしのぎを削っており、「競争」が自動車産業を日本の基幹産業として大きく成長させました。しかし、今は「協調」が必要なのです。

 自動車は2万点以上の部品によって作られており、二次三次の協力会社を含めると部品メーカーの数もたくさんあります。自動車産業はすそ野が大変広い産業です。自動車産業のクラスター構造は一朝一夕に築かれるものではなく、長い年月をかけた親会社、子会社、協力会社群の信頼と協力関係を積み重ねて形成されており、物づくり国家日本の強みでもあります。

 各自動車メーカーが協調して被災した部品メーカーを支援することが、長期的観点から、自動車産業の復旧のみならず日本の製造業の強さを世界に示し、活力喪失気味の日本経済の復興につながることを期待したいと思います。(了)

(記事提供者:アタックス 丸山 弘昭)