財務省は、平成22事務年度の「国税庁が達成すべき目標に対する実績の評価書」を公表しました。これは国税庁の取り組みに対する〝通信簿〟ともいえるものです。7月から翌年6月末の事務年度ごとに、財務省がS(目標を達成した)、A(相当の進展があった)~D(進展がなかった)の5段階で評価します。評価の対象項目としているのは大きく分けて、①内国税の適性かつ公平な賦課及び徴収、②酒類業の健全な発達の促進、③税理士業務の適正な運営の確保――の3つ。このうち、①のカテゴリーに入る「納税者負担の軽減」と「国際化対応」を重点的に取り組む目標としています。

 e-Taxの利用件数は1756万6千件で、前年から約100万件増加。利用満足度も「上位評価」をした割合が66.4%となり、目標を超えたといいます。これにより、財務省は「A」評価を付けています。ただ、有識者で組織する「財務省の政策評価の在り方に関する懇談会」は、少し違った見方をしています。e-Taxは税務署に設置されたPCなどによる提出が8割程度に達し、自宅のPCからは2割程度にとどまること、確定申告書提出者の総数の1割に満たない利用状況であることなどを挙げ、「『A』評価に多少の疑問を覚える」と、〝甘め〟の評価であることに言及しています。

 国際化対応については、国際取引に関わる納税者のコンプライアンスの維持・向上のため、各国税務当局間の協力や経験の共有を図ることなどを活動の根底に置き、開発途上国に対する技術協力(「受入研修」と「職員派遣」)についての業績指標が目標値を突破したため、財務省は実績評価を「B」としています。
<情報提供:エヌピー通信社>