(「ノマドワーキングという働き方 その1」より続く)

 ノマドワーキングが実現した背景にあるもの、それはIT技術の発展です。近年、クラウド・コンピューティング(ネットワークを経由してサービスを利用する形態)により、どこにいても、好きなときにインターネットに接続し、資料の閲覧や修正、メールチェックができるようになりました。ネット上に資料が保管されているので、重い書類を持ち歩くことやオフィスに忘れることもありません。このクラウドの技術なくして、ノマドワーキングは生まれなかったでしょう。

 ただし、企業が取り入れるには、いくつか注意しなければならないことがあります。なかでも、コミュニケーションがメールに偏りがちなので、互いの思いが伝わりにくいという問題にぶつかることが少なくありません。対策としてはパーティなどのイベントを積極的に開き、仲間と顔をあわせる機会を意識的に増やすといったことが有効です。

 そして、最大の課題はサボタージュの管理です。自律していない人がノマドワーカーになると、監視がないことをいいことにユーチューブ閲覧に没頭して、ムダに一日を過ごしてしまうこともあるでしょう。これに対しては、評価方法を変えるなど、従来のマネジメントと同様に体制づくりが必要になります。

 ノマドワーキングはオフィス・スペースや移動のムダが省け、従業員に自由で働きやすい職場環境を提供できるというメリットをもたらします。これらメリットを最大限に享受するため、企業がマネジメントしなければならない要素は、モチベーションやコミュニケーション、チーム内の信頼関係と、いつの時代も同じ。働き方が変わっても人間の本質はそう変わるものではないようです。(了)

(記事提供者:(株)税務研究会 税研情報センター)