新興国市場の台頭や円高の進展に伴い、大手完成品メーカーは海外生産をこれまで以上に拡大させるとともに、部品調達先を日本国内に限らず海外企業も含めたグローバルな調達へとシフトさせており、下請企業を取り巻く環境は厳しさを増しています。

 こうした中、下請企業にとっての販売先となる大手完成品メーカーなどの取引先企業は、下請企業の選別を強化しています。これまでは、取引関係の長さなどが重視され、既存の下請企業と継続的に取引がなされてきました。しかし最近では、取引先企業側においてQCD(品質、コスト、納期)を中心とした格付システムが導入され、それらの評価に基づいて発注先の見直しが図られています。

 また取引先企業は、QCDの要求を厳格化させるだけでなく、プラスアルファの3つの競争優位性を下請企業に求める傾向にあります。

 1つ目は技術力であり、取引先企業が完成品を製造するために不可欠な製造・加工技術を有する力を指します。2つ目は柔軟性であり、取引先企業の多様な発注に柔軟に対応することで、完成品をより速く製造することに寄与する力を指します。3つ目は提案力であり、取引先企業の新製品開発や製品高度化に寄与するような提案サービスを提供する力を指します。

 このように、下請企業が売上を拡大するためには、技術力、柔軟性、提案力といった3つの競争優位性をもつことが求められるのです。(つづく)

(記事提供者:(株)税務研究会 税研情報センター)