平成23年度の国税の滞納残高は約1兆3617億円(前年度比4.1%減)で、13年連続で減少しました。国税庁のまとめで分かったものです。このうち消費税の滞納残高が約4169億円で、全体の約3割を占めています。滞納残高が減少した背景には、国税当局による徴収徹底の効果があるとみられます。しかし、長期の景気停滞によって、税収そのものが大きく落ち込んでおり、そもそも「徴収する税金が存在しない」ことが、〝滞納減少〟の主要因であることは間違いないといえます。

 国税の滞納残高は、最も多かった平成10年度には約2兆8149億円あったため、昨年度はワースト時の半分以下の水準にまで〝改善〟されたといえます。年度内に徴収するべき税額に対して、どれだけ滞納額が発生したかを示す「滞納割合」も1.4%で、過去最も低い割合となりました。滞納残高が膨れ上がるのも問題ですが、その一方で「税収減によって、それが半減するという状況を、13年間も放置してきたことが問題だ」などと指摘する声もあります。滞納残高が約2兆8千億円にも達していた平成元年度は「ワースト時」と表現するよりもむしろ、景気的には〝ピーク時〟だったといえるかもしれません。

 国税庁によると、昨年度中に発生した新規の滞納額は約6073億円。このうち消費税が約3220億円で新規滞納額全体の53%を占め、消費税が導入された平成元年度以降、割合では最も多くなりました。所得税の新規滞納額は約1234億円、法人税のそれは約737億円でした。
<情報提供:エヌピー通信社>