厚生年金の保険料率が9月分(10月末納付期限分)から引き上げられます。一般被保険者の保険料率はそれまでの16.412%から0.354ポイント引き上げられ、16.766%になります。

 厚生年金の保険料率については平成16年(当時は自公政権)、自民・公明の両党による与党年金制度改革協議会で合意文書が交わされ、同年以降、毎年段階的に引き上げられることになりました。これにより、平成16年8月分(9月末納付期限分)までは年収(ボーナス分を含む総報酬額)の13.58%(労使折半負担)だった厚生年金保険料率が、翌月分から毎年0.354ポイントずつ引き上げられ、平成29年には年収の18.3%にまで引き上げられます。13年間で段階的に4.72ポイント引き上げられることになる計算です。
 仮に、ボーナスを含めた平均年収が570万円だった場合、平成29年の保険料は年額104万3100円で、労使折半でも会社・個人がそれぞれ52万1550円ずつを負担することになります。この年収のケースでは、平成16年よりも個人分だけで13万4520円の負担増となります。

 税・社会保障一体改革法の成立により消費税増税が実施されることになりますが、「一体」で改革されるはずだった厚生年金の保険料率などについては、具体的な見直しすらなされていません。〝第2の税金〟ともいわれる厚生年金の保険料率が段階的に引き上げられることによって、毎年、労使ともに負担が増す一方では、賃上げもままならず、雇用に伴う過重なコストが企業経営を圧迫するでしょう。「一体」とは名ばかりの社会保障〝改革〟では、「雇用の流動化」と「産業の空洞化」にますます拍車がかかるとみられています。
<情報提供:エヌピー通信社>