「代々続いてきた酒屋をコンビニに業態転換」「バイパス沿いの倉庫跡地でファミレスをはじめる」などなど、事情はさまざまですが、新しいビジネスにチャレンジする中小企業は少なくありません。そこで検討されるのが大手フランチャイズチェーン(FC)への加盟です。FCに加盟して本部のノウハウを活用すれば、失敗するリスクが低くなると考えるのは当然のことでしょう。

 FCに加盟する側からすれば、ブランドイメージはもちろん、その業界のプロの経営や営業、仕入れ、教育などさまざまなノウハウを手に入れるためのコストとして、決して安くはない「加盟料」を支払うことになります。加盟料を一時金としてFC本部に支払い、数年間契約するというのが一般的ですが、ここで気になるのが税務上の取り扱いです。事業者としては、この加盟一時金を損金に算入できるかどうかが気になるところでしょう。

 加盟一時金は多くの場合、ノウハウ提供や経営指導、エリア取得、仕入業務管理など種々のサービスを受けるために支出する「権利金」として考えられています。このため、その契約期間が1年以上であれば、税務上は繰延資産として処理する必要があります。

 繰延資産であれば、「何年で償却するか」が問題となりますが、フランチャイズの一時金は一般的に「ノウハウ提供の頭金等」とされ、原則5年間で償却計算を行っていくことになります。全額を一括で損金処理したいところですが、支出した事業年度における一時の損金とすることはできないので注意が必要です。
<情報提供:エヌピー通信社>