ここ1、2年、IT業界でもっとも注目を集めているものといえば「ビッグデータ」の活用になります。インターネットをはじめ、生活のなかで生じる大量のデータ(ビッグデータ)を活かすことで、製品やサービスの向上、あるいは新製品、新市場の創出につなげようという考えが広まっています。

 そんななか、データ解析の専門家、「データサイエンティスト」という職業に注目が集まっています。この仕事はデータの収集、解析を通して、業績の向上へ貢献することが主な役割です。今後の活躍が期待される職業の一つであり、情報技術の研究第一人者、トーマス・H・ダベンポート(バブソン大学 特別教授)は、データサイエンティストを「21世紀でもっとも魅力的な職業」と称しています。

 データサイエンティストとは、従来の社内データベースの解析者とどこに違いがあるのでしょうか。この仕事は、単にデータを解析するだけではなく、業績向上を視野に入れ、アイデアを提案するところに特徴があります。どのようなデータを集めるか、そして収集したデータの奥に隠れている意味を解釈し、そこから将来の予測、さらには業務の改善点や顧客への価値提供のポイントを提示するところまでを担います。

 そこには、データ解析や統計分析の知識だけでなく、経済学やマネジメントに関する理解、コンサルティング能力にくわえてコミュニケーション能力など、多岐にわたる能力が要求されます。それゆえ、IBMやオラクルなどの米国企業では、ビッグデータビジネスの拡大に備え、人材不足に陥らないように育成に注力もしています。(つづく)

(記事提供者:(株)税務研究会 税研情報センター)