日本では、ビッグデータへの関心が高まるようになり、データサイエンティストの必要性を認識する企業が現れはじめています。まだ端緒についたばかりですが、データ分析の専門家を活用している企業事例が報告されるようになりました。一例をあげるならば、リクルートがそうです。同社は進学、就職から、結婚、稽古、飲食まで、100を超えるサイトを立ち上げ成功している企業です。一日に多くの人がサイトを訪れ、そこには顧客がアクセスしたページの履歴や滞在時間、利用したサービスなど、サイズの大きい、多様で複雑なデータが存在します。

 リクルートでは、数年前からデータ分析の専門家を計画的に採用し、データを活用するための取り組みをはじめています。不動産・住宅サイトでは、エリア間の関係を分析し、ユーザーに提示するおすすめエリアの精度を高めるといった改善を図りました。結果、従来と比べて、ユーザーがより多くの情報を閲覧するようになったといいます。また、解析した結果を用いて、今より少ない広告予算で、物件の資料請求件数といった事業目標を達成する方法を考え出したりもしています。

 今、企業では、いかに差別化を図り、低コストで質の高い商品やサービスを提供するかが課題となっています。従来の改善活動の一歩先を行くのなら、こうしたデータサイエンティストを用いて、データを宝の山に変える取り組みの必要性が高まることが予想されます。この流れに備えるならば、今から、データの活用を視野に入れた人材の育成について、体制を整えておくことは重要だと考えられます。(了)

(記事提供者:(株)税務研究会 税研情報センター)