いま、アメリカは「シェール革命」に湧き、天然ガスが脚光を浴びています。シェールというのは地中深くにある堅い層のことで、そこから天然ガスなどがふんだんに手に入るようになりました。従来から、シェール層に資源が埋蔵されていることは知られていたのですが採掘は困難だといわれていました。それが新たな技術開発により可能となり、まさに革命というべき大きな変化が起こったのです。

 具体的な変化として、天然ガス生産量の増加が挙げられます。米国エネルギー省の統計によるとシェールガスの生産量は増加を続け、2020年ごろには2010年の2倍になると見込まれています。従来、アメリカは天然ガスや石油の輸入国でしたが、天然ガスは今から4、5年後には、輸出が輸入を上回るといわれています。その結果、中東へのエネルギー依存度は下がり、国家間のパワーバランス、そしてエネルギーの国際勢力図にも変化が起こることが予想されます。

 そのほか、国内産業への恩恵は多大なものがあります。第一は、天然ガスの価格下落です。シェールガスの生産が本格化したことで、アメリカ国内における価格は以前よりも約1/3と大幅に下がりました。これにより、エネルギー(発電)のコストを低下させることができます。

 それだけではありません。プラスチック原料や合成繊維メーカーは、石油の代わりにシェールガスを利用することで原材料費を低く抑え、コスト競争力の向上が図れます。
 
 さらには、雇用創出、資源輸入の減少による貿易赤字縮小など、シェール革命はアメリカに数知れないほどの恩恵をもたらしています。(つづく)

(記事提供者:(株)税務研究会 税研情報センター)