課・係などの現場リーダーは、トップと一般従業員の接点で活躍する、言わばトップの分身とも言える存在です。
 それだけに、トップの問題意識・方針・経営課題・施策を正しく受け止めて自部署としての具体的な問題・課題に置き換え、部下に浸透させて解決を主導できる人材でなければなりません。
 言い換えれば、トップの示した課題に基づいて改革推進を図る意識・実行力が高い積極的なリーダーシップをもった人材を育成し、配置することが肝要です。

◆現場リーダー育成のポイント
 どのように現場リーダーを育成すべきか、そのポイントは、トップ自身が現場リーダーやその候補者に直接会社の現状や外部環境の変化を踏まえた経営改革の必要性・経営課題・解決への思い・期待を語りかけ、やる気を高め、改革へのベクトルを一致させ、積極的改革への動機付けを行なうことにあります。
 管理者研修は、このトップからのメッセージから始め、次に現場の問題発見・課題解決のマネジメントを如何に実行するか、その方法を学習し、現場リーダー層が自己のマネジメントのやり方を研究し合う場にすること、すなわち技法だけを学ぶのではなく、トップからの動機付けとセットで技法と現場改革推進マネジメントの実践方法を学び、自ら考え、研究し合って実践への決意を固める場とするのが効果的です。

◆強い現場づくりと企業文化
 このような現場リーダーの育成は、現場従業員が共通の目標に向かって団結し、部署間・職場間で助け合いながら改革を押し進め、達成感を分かち合う強い現場づくりに帰結します。
 そして、現場リーダーを核にして全部門を巻き込んだベクトルが一致した改革を継続して行くと、やがて従業員の積極的・主体的な意識・行動が社内に定着し、組織のタテヨコの風通しが良く、トップの示す経営戦略・経営改革施策の現場展開、現場からのリアルな問題提起と対策の上申がスムーズに行われる「トップダウンとボトムアップが噛み合ったスピード経営の企業文化」が形成されます。
 企業文化は“人・モノ・金・情報に次ぐ第五の経営資源”と言われ、常に外部環境変化に柔軟に適応する経営戦略展開の力となります。