最近、中国経済の先行きに関して、リスクを懸念する声が広がっています。不安要因の中心にあるのが「影の銀行(シャドーバンキング)」問題です。シャドーバンキングとは銀行以外の金融機関による融資を指し、その額は中国全体で500兆円にものぼるといわれています。これが焦げつき、不良債権になると、世界経済へ大きなダメージが及びます。

 実際、2014年1月、債務不履行(デフォルト)の危機が起こり、さらに懸念が強まりました。このときは、「理財商品」といわれる金融商品が期日までに投資家に元利金を返済できず、支払いの遅延が生じました。このまま行けばデフォルトに陥るという状況下、この危機は、第三者の投資家が政府の意向を受け、理財商品を買い取ることで最悪の事態を免れることができました。

 とはいえ、問題が根本から解決したわけではありません。理財商品が問題となっているのは、投融資先が、石炭採掘や不動産など過熱気味の事業が多いにもかかわらず、審査は銀行に比べてずさんな点にあります。中国の個人投資家はこうした金融商品を元本の保証がないにもかかわらず、銀行などに比べて高利回りが見込めるという理由で多く購入しています。

 中国の経済が失速するなか、とくに、理財商品のなかでも不動産を対象とした商品がデフォルトに陥る可能性が高いといわれています。これまで、不動産開発事業者は土地の値上がりを狙い投資してきました。ところが、土地の価格が下がれば、過熱気味だった事業が沈静化し、予定していた利益が得られない事態になります。結果、開発資金の返済が滞ることが生じます。(つづく)

(記事提供者:(株)税務研究会 税研情報センター)